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2006年6月15日 (木)

暑中見舞いの起源

 今では当たり前のものとして考えられている暑中見舞い。形は違えどもその歴史は古く、江戸時代以前にまで遡ります。
 かつて人々は、一年を二期と考えていました。その始まりが、今で言うところの正月と盂蘭盆会だったのです。そして人々は期の始まりに、贈答品を持ち挨拶周りを行いました。相手を気遣いまた、その期の感謝をするのです。これはとても重要な事とされ、江戸時代では、武家仲間から親戚関係、更に近所の家を元旦から1月末まで毎日回り続けた人もいた程です。
 身分制度がしっかりと根付いていた時代。身分の高い人は訪問を受け、低い人は訪問周りを行うのが常識でした。ですが、さすがに遠方の方を訪問することは難しく、飛脚便などを使って書状を送ったのだそうです。
 この習慣が、明治維新後の明治6年、日本のはがき郵便配達が始まったのを機に、遠方の方以外にも挨拶状を送るという習慣として広まります。そしていつしか、年賀状と暑中見舞いへと変化を遂げ定着するのです。しかし明治39年に年賀郵便の制度が始まり、昭和24年にお年玉つき年賀状が発行されるなど、年賀状の普及は拍車がかかりましたが、その一方で、暑中見舞いが習慣として広がったのは大正時代になってからのことでした。
 そして現在、一年が二期という概念は失われ、暑中見舞いの習慣さえも無くなりつつあるように思われます。古よりの日本の伝統と習慣を無くしてよいものなのか考えずにはいられません。
 インターネットに携帯電話と、目覚しい発展を遂げた現代。手紙という文化すら消滅へと足を踏み入れているように思います。かつて人々が、苦労を問わずに行った挨拶周りを考えれば、はがきを出すことなど造作も無いことではないのでしょうか。 
 長き時、受け継がれてきた文化だからこそ、失いたくないと願うのは当たり前のことです。機械化された現代だからこそ、文字の暖かさを感じたいとは思いませんか。
 紡ぐ言葉よりも、綴る言葉の重みを忘れてはならないのです。
 「目で見る言葉の大切さを、もう一度考えてください。」と願わずにはいられません。 
また、古き良き時代の日本の「相手を思いやる心」のすばらしさを。これこそ日本の文化の根底ではないのでしょうか。

●海外では ※フリーペーパー未掲載
日本では習慣となっている暑中見舞いと年賀状ですが、海外は同じ習慣があるのでしょうか?
 年賀状は中国でも習慣として深く根付いているようですが、暑中見舞いの存在はありません。アメリカ・ヨーロッパにも無く、日本独自の習慣といっても過言ではないようです。
 キリスト教圏内では、クリスマスの時期にクリスマスカードを交換する習慣はあるようですが、年賀状がない分、クリスマスカードにHAPPY NEW YEARと添えて送ることが一般的とされています。
 また、キリスト教でない人は、season's greetingとして送るそうです。
 アメリカでも同じようにクリスマスと年始を祝うためのグリィーディングカードの習慣があります。
 また、暑中見舞いと似ていますがが、ドイツでは夏にバカンス先から葉書を送るのが儀礼。年賀状程ではありませんが、日本の暑中見舞いよりは盛んです。
 この葉書が暑中見舞いと大きく違うのは、相手の安否や健康を気遣うものではなく、あくまでバカンスに来ていて楽しいです・・と、自分の近況を伝えるためだけのものであるという点でしょう。
   例え習慣が無いからといって、暑中見舞いを海外に送ってはいけないということはありません。例として、一文あげてみましょう。

「This is inquiring after your health in the hot season.
 I hope this card find you will despite the weather.」
  (暑中見舞い申し上げます。厳しい暑さが続いていますが、お元気ですか?)

 直訳:暑い季節にあなたの健康を見舞います。私はこの季節にも係わらずあなたが元気であると願います。
以上のようになります。やはり英語では趣が違うように感じます。
 
●暑中見舞いを出す時期
 暑中見舞いは、一年で最も暑い「大暑」の時期に、互いの近況や健康を気遣うためのものとされています。「小暑」(7月7日)から「立秋」(8月8日)の前日までに出すのが基本。しかし、小暑の頃だとあまりに早すぎて、受け取った方が違和感を持つとのこと。ですから今では梅雨明け後の夏の土用(今年は20日)あたりに出すのが一般的になっています。
 ちなみに立秋をすぎると、残暑見舞いへと変わりますが、残暑見舞いも8月中には出すのが基本です。

●暑中見舞いの日
 6月15日は、暑中見舞いの日とされています。
 1950年(昭和25年)、暑中見舞いはがきが初めて発行された事に由来しています。
 発行当時の図柄は「草上の小憩」の代表作で知られる石井柏亭らによるもので、たった一週間で売り切れてしまう程の人気だった。

●暑中見舞いの書き方
 暑中舞い、残暑見舞いは季節の挨拶状のひとつなので、特に決まった形式はありません。
1・季節の挨拶(決まり文句)
2・先方の安否を尋ねる。自分の近況を伝える。相手の無事を祈る。
3・日付(拝啓や敬具は不要)
  日付は「○○年○月」のみで可。「○○年 盛夏」というのも多い。

また、引越しや結婚など、その他様々な近況を伝えることができるので便利です。


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